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小林よしのり
2019.4.1 20:49日々の出来事

「令和」に浮かんだ疑問

イチャモンつけるつもりはないが、「令和」という文字を
見たとき、ちょっとした疑問が浮かんだので、勉強した。

万葉集の「初春月、気淑風の一節は、支那の詩文集
「文選」の「仲春月、時気清」と同じであり、安倍首相
は国書から採ってきたつもりでも、実は漢書の由来でしたと
いうことになる。
平安時代の基礎教養が「文選」だったのだから仕方がない。

万葉集の和歌は「万葉仮名」であり、漢字は当て字で意味は
ない。
和歌の序文が漢文で書かれており、万葉集の「梅花の歌」の
序文は、支那の詩文集「文選」に収録されている詩の一部と
いうわけだ。

そもそも漢字が漢族の文字なのだから、本当に日本に拘る
なら、元号をひらがなにしなければならない。

さらに言うなら「令」は王冠の下に人が跪いている図だから、
やっぱり君主か支配者の命令の意味である。
君主の命令だから、清らかで美しいという観念に結び付く
のだろう。
「令和」を見て、なんとなく冷たい感じがするのはやむを
得ないのだ。

けれどもわしは元号が好きである。
時代の記憶を封じ込めて区切りを付けられる。
西暦じゃだらだら時が過ぎるばかりで終末まで区切りが
来ない。
キリストの支配する時間枠に慣らされる必要もなか
ろう。
国書からの選出ではないが、「令和」を受容しよう。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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